第41章

稲垣栄作は車の中で目を閉じ、心を落ち着けていた。

ふと、内田先生が話していた学生のことを思い出した。内田先生によると、その学生は嫁いだらしい。

稲垣栄作は高橋遥のことを思い浮かべた。彼と高橋遥は長い付き合いだった。高橋遥が彼と結婚した時も、あの学生と同じ気持ちだったのだろうか?

良き人に嫁ぎ、一生を共に過ごす。

稲垣栄作は普段なら落ち着いた性格だが、最近は高橋遥のことで少し浮ついていた。

彼は秘書に電話をかけた。「頼んでいた件はどうなっている?」

向こうはすぐに返答した。「稲垣社長、萩原弁護士との連絡が取れました!あと12時間でB市国際双流空港に到着する予定です。着いたら、すぐに...

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